悲劇 tragedy 2003 12 17
今から、20年も前のことだったでしょうか。
その頃は、スコッチウィスキーは、1万円以上の値段でした。
これでは、庶民に買える値段ではありません。
そこで、愛好家たちは、
海外に旅行する親戚や友人に頼んで、
おみやげとして、スコッチウィスキーを買ってくるように頼みました。
こうすれば、スコッチウィスキーは、店頭価格の半額で、手に入りました。
しかし、そのうち、愛好家たちは、
スコッチウィスキーを並行輸入することを考えました。
こうなると、流通業者も黙っていませんでした。
流通業者も、並行輸入で対抗することになりました。
今は、インターネットの普及で、世界中どこからでも、安い商品が買えます。
しかし、スコッチウィスキーは、インターネットが普及する前から、
価格破壊となりました。
こうして、スコッチウィスキーの愛好家たちは、
安く、スコッチウィスキーが飲めるようになりました。
しかし、これは、悲劇の始まりでした。
これでは、酒屋の経営が成り立たなくなってきたのです。
最近では、酒屋でなくても、あちこちで、お酒は売っています。
さらに、最近は、若者のアルコール離れが目立ってきました。
若者の嗜好が変ってきたのです。
酒屋の悲劇は、さらに続くのです。
この悲劇は、未然に防げたはずです。
20年も前から、産業構造の転換が叫ばれてきました。
もう戦後は終わった。
今の経済システムは、戦後復興のシステムである。
新しい経済システムを建設すべきである。
20年も前から議論されていたテーマです。
にもかかわらず、政府は、改革を「先送り」してきました。
酒屋の悲劇は、政府の「先送り」の結果、発生しているのです。
20年も時間があったのです。
こんなに時間があれば、大改革もできれば、
酒屋の救済措置もできました。
最近でも、相変わらず、政府は、
年金や税制で、「先送り」をやっています。
なぜか。
これは、自民党そのものが、戦後復興システムだからです。